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お題080 ブリキのおもちゃ
お題080 ブリキのおもちゃ

 古い玩具みたいだよ、彼女は。
 ブリキでできた玩具。
 昔は誰もが欲しがってたけど、今じゃ誰も見向きもしない。
 寂しいかな……、それとも安堵してるのかもしれないな。
 ま、僕には彼女の気持ちはわからないけどね。


「だってさ」
「ふーん……」
 那乃果はあからさまな生返事をして、窓枠から手を離した。
 窓の外から教室の中に視線を移し、机に座っている茶髪の男を生温い目で見やる。
「だから何」
「見たくない?」
「何を」
「ブリキの玩具みたいな彼女」
 茶髪の少年──啓斗は、いかにも楽しげに笑ってみせる。
 垂れ目が更に垂れて、どこか情けない顔にも見えた。
「どこに見に行く気?」
「遊園地!」
「何。そこでバイトでもしてんの」
 啓斗が大きく首を振った。
 縦ではなく、横に。
「彼女のこと話してた奴、その子のこと好きなんだってさ。で、なんとか休日に会う約束したんだけど、二人っきりじゃ緊張するからって。だから」
 まくしたてる啓斗を、那乃果は片手を上げることで制止させた。
「あんたもしかして」
「うん」
「私をデートに誘いたいわけ?」
「うん」
 ため息をついた。
 啓斗は相変わらず笑顔で、那乃果をじっと見ている。
 ドキドキしてるふりでもすりゃあ、可愛いものを。
 那乃果はそう思いながら、再び窓の方に向き直った。
「つまんないから、やり直し」
「うそぉ」
「嘘ついたのはアンタでしょ」
 どうせつくなら、もっとマシなのにしなさい。
 啓斗はそれを聞いて暫く黙り込み、そして。

「俺、那乃果のこと、食べちゃいたいくらい愛してる」

「……それを嘘だって言っちゃうとこが、アンタの駄目なとこよね」
「だって、マンイーターにはなれないし」
「…………。」
 この男を好きな自分はどこかイカれてるのかもしれないと、那乃果は本気でやさぐれた。



要するに前半の啓斗の話は全部嘘です。最悪です。
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( 2005.08.30 ) ( おはなし ) ( COMMENT:0 ) ( TRACKBACK:0 )
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